身体障害

身体障害は、身体障害者福祉法などの法令に基づき、視覚・聴覚・肢体などの身体機能に障害がある状態を指します。

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視覚障害

視覚に障害があり、日常生活を送る上で何らかの困難さを感じている状態を視覚障害といいます。視覚障害といっても様々な見え方があり、全く見えない、文字がぼやけて見えない、物が半分しか見えない、などがあります。これらは、見る力に障害のある視力障害と見える範囲に障害がある視野障害の2つに分かれます。視力障害とは、視力の著しい低下つまり、目の見えにくさを抱えた状態を指します。視力も全くなく、光を感じることもできない盲と、眼鏡等を利用し見えづらい状態にあるが視覚による日常生活が可能な弱視に分類されています。その他、色覚異常や夜盲など障害者手帳交付の対象になっていない視覚の障害もあります。視覚情報が得にくいため、歩行をする際は白杖という杖を使用したり、ガイドヘルパーによる同行援助を受けることもできます。また、音声ソフトやパソコンディスプレイ上の文字や図を拡大するソフトを利用して仕事をしている人もいます。

聴覚障害

音が聞こえない、または聞こえにくい状態を聴覚障害といいます。病気、事故などで生じる場合や、生まれつきの場合、加齢による場合などがあります最も代表的なものは、音が聴こえにくい難聴(聴力障害)ですが、他にも音の大小感覚の異常が起きる補充現象や耳鳴といった症状もあります。聴覚障害は、障害部位で、伝音難聴、感音難聴とこの両方がある混合難聴に分けられます。伝音難聴では強い音しか感じ取れなくなる、つまり聴覚の感度が低下してしまいますが、感音難聴では聴覚感度に加えて、どのような音であるかが聞き分けにくくなります。聴覚障害者のコミュニケーションでは、手話や筆談、口話といった手段を用いることがあります。また、補聴器を入れることで伝音難聴の感度を向上させることができますし、補聴器でも効果を得られない場合は、人工内耳の手術を受けることも可能です。

平衡機能障害

平衡機能障害とは、体の姿勢(バランス)を調整する機能の障害であり、四肢や体幹の異常がないにもかかわらず、起立や歩行に何らかの異常をきたすことをいいます。平衡機能に障害が起きてしまうと、めまいやふらつきなどの症状が発生し、具体的には「ぐるぐる目が回る」、「ふわふわする」、「ゆらゆらする」といった訴えをする方が多いです。平衡機能障害の原因となる疾患は、中耳炎やメニエール病といった耳鼻咽喉科疾患、脳梗塞や脳出血などの中枢性疾患、うつ病や心身症などの精神科疾患と非常に様々です。原因が多様であり、現れる症状も回転性のめまいや動揺感、眼前暗黒(目の前が暗くなる)、歩行障害など多彩で、障害の程度も日常生活に支障のない軽度のものから、寝たきりを強いられる重度のものまであります。症状や原因により治療法もことなるので、もしめまいやふらつきといった症状が発生したら、早めに受診をしてみることをお勧めします。

音声・言語・そしゃく機能障害

音声機能障害とは、咽頭(のど)や発声筋などの音声を発する器官に障害があるため、発音や音声、話し方に障害がある状態を指します。言語機能障害は、構音器官(口唇、舌、下顎など)における発音にかかわる能力と言語の理解と表出にかかわる能力に障害がある状態を指します。そしゃく機能障害は歯や顎、咽頭など障害により食物の摂取が困難な状態、あるいは誤嚥の危険が大きい状態を指します。

肢体不自由

肢体不自由とは、先天的か後天的かを問わず、四肢(上肢・下肢)の麻痺や欠損あるいは、体幹の機能障害のため、日常の動作や姿勢の維持に不自由があることを指します。具体的には、「立つ」、「座る」、「食事」、「着替え」、「文字を書く」、「歩く」など日常生活の中で必要な動作が困難になります。現在、障害種別に見た身体障害者手帳保持者数は肢体不自由の割合が最も高く、約半数を占めます。肢体不自由の原因疾病としては、脳性麻痺、脳血管障害、脳外傷の後遺症など脳に関わる疾患が多く、その他に脊髄損傷や進行性筋ジストロフィー、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの難病、さらに骨疾患や糖尿病の合併症による神経障害に起因するのもなど多岐にあります。肢体不自由といっても、障害のある場所により生活の困難さ人それぞれ違います。歩行や入浴、コミュニケーションなど不便を感じる場面も異なるため、その方に合った福祉用具を使用することで、困難さをカバーすることができます。

内部障害

内部障害とは、体の内部にある障害がある状態を指します。外見には分からないことが多いですが、疲れやすかったり、日常生活に不便があったりと、周囲の理解と配慮を必要とします。

►心臓機能障害

全身に必要な血液を送り出す心臓の機能が低下した状態を指します。心臓の収縮のリズムが不規則な人は「ペースメーカー」という医療機器を胸部に埋め込んでいます。

►腎機能障害

腎臓の働きが悪くなることで、体に有害な老廃物や水分を排泄することができなくなり、不必要な物質や有害な物質が体の中に蓄積してしまいます。

►呼吸器機能障害

肺の機能が低下したことにより、酸素と二酸化炭素の交換がうまくできなくなる状態を指します。酸素がうまく取り入れられない人の中には、常に酸素ボンベを携帯している人もいます。

►膀胱・直腸機能障害

尿をためる膀胱、便をためる直腸が、さまざまな病気のため機能低下または機能を失ってしまう状態を指します。排泄物を体外に排泄するための、人工肛門・人工膀胱を造設する方(オストメイト)もいます。

►小腸機能障害

小腸の広範囲に及ぶ切除や病気によって、小腸の機能が不十分になり、消化吸収がうまくできず、通常の経口摂取では栄養維持が困難な方もいます

►ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害

HIVウイルスに感染すると、白血球の一種であるリンパ球が破壊され、免疫機能が低下します。そのため、発熱・下痢・体重減少・全身倦怠感などが現れます。

►肝臓機能障害

肝臓の機能が低下したことにより、倦怠感(だるさ)、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、出血傾向(あざができやすい)、易感染性(感染しやすい)、吐血、意識障害などが生じやすくなります。

東京都福祉保健局 「障害を知る」

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/tokyoheart/shougai/index.html

厚労省ホームページ 「身体障害者手帳」

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/shougaishatechou/

荘村明彦 『人体の構造と機能及び疾病』 中央法規出版 (2017)

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